新米技術者の研究メモ

思いついた工学的なお題についてゆるーく考察・解説していくブログ。

カレントミラー回路の動作を確認する

 

 今回は、カレントミラー回路の動作をLTspiceで確認してみます。

 

カレントミラー回路はトランジスタを2個使う回路で、片側に流れている電流を、もう片方にコピーできるという回路です。ただし名前のミラーは鏡ではなく、発見したミラーさんから来ているので注意だとか。

 

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図1 npn型のカレントミラー回路

 

実際にLTspice上で適当(デタラメ)に回路を描いてみました。図1中のR3は、リファレンスとなる電流を決める抵抗になります。エミッタ抵抗はあってもなくても良いみたいですが、テキトーに入れました。笑

 

  

電流をコピーするというのは、すなわち双方のコレクタ電流が同じになるという事です。ぱっとみて、片側に1kΩ入ってないんだから、そんな訳ない気がしますよね。そこはQ1のベースとコレクタを結線しているところにミソがあるようです。

 

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図2 コレクタ電流の解析結果の比較

 

トランジスタのコレクタ電流の解析結果が図2になります。片側に抵抗が入ってないのに、コレクタ電流が同じになりました。まさに電流のコピーですね。

 

 

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図3 pnp型のカレントミラー回路

 

では、一定電流をコピーして何をすれば良いかを考えます。例えば、図3の様にpnp型で組みなおして、出力にコンデンサを入れておきます。定数は先ほどと全く同じで、トランジスタの方がnpnからpnpに変わっています。コンデンサの定数は、テキトーに4.7uFにしてあります。

 

 

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図4 コレクタ電流とコンデンサ端電圧

 

解析結果が図4になります。先ほどと同じく、コレクタ電流はコピーされて流れています。そして、コンデンサが一定電流で線形に充電されていることが分かります。

 

普通、電源ラインにコンデンサをぶらさげると、急激に充電されてしまいます。この回路であれば、一定電流で線形にチャージすることが可能で、充電電流は抵抗値によって選ぶことができます。また充電の傾きはコンデンサ容量で調整することが可能です。

 

この一定で充電できるという点を何かに使えるといいですね。色々と応用例がありそうですが、電源回路周りで言えばのこぎり波の生成などができるようです。

 

今回はここまで。

 

次回:のこぎり波を作ろう

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この記事は筆者が別ブログで掲載していたものをこちらに引っ越し、改訂したものです。(元ブログの記事は削除済み)

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