新米技術者の研究メモ

思いついた工学的なお題についてゆるーく考察・解説していくブログ。

チャージポンプ回路のリップル電圧を概算してみる

今回は、チャージポンプ回路のリップル電圧を概算してみます。

 

前回のチャージポンプ回路を考察しやすくするために、LTspiceの回路をパラメータ定義により整理しました。設計仕様は前回と同じく、5V入力で、4倍出力です。今回はPWM周波数、コンデンサ容量、負荷電流の関係性について考察しようと思います。

 

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図1 チャージポンプ回路

  

 

 図2に出力電圧とPWMのイメージ図を示します。出力電圧はPWMのタイミングで充電と放電を繰り返しますが、特にON期間中は前段のコンデンサから電荷をもらいつつ、出力に放出するので、電圧の減少する傾きがゆるやかになる一方で、OFF期間中は負荷電流にて放電します。 

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図2 出力電圧とPWMのイメージ図

  

ただこれではリップル電圧を容易には計算できないので、図2の赤線の通り、「初めから負荷電流によって放電する」と仮定して計算してみます。その場合の計算式は、同じく図2に書いてある通りです。多分。

 

例えば今回の回路で言えば、

・負荷電流: 100mA、

・周波数:1 MHz (Ts = 1us)

・コンデンサ容量: 0.47uF

 

となるので、リップル電圧は図2中の式、第二項を用いて、

Vripple = (100mA) / (0.47uF) * 1us = 213 mV になります。

 

実際に回路を解析した結果が図3になります。リップル電圧は136.6mVでした。計算結果よりは少ない値になっています。この計算式の良いところは、リップル電圧を多めに勘定しているところです。図2の赤線でもわかるように、明らかに値が大きくなるように近似しています。つまり、「想定してたより大きい」、ということが無いはずです。

 

よってこの式により、リップル電圧という設計条件から、周波数やコンデンサ容量、負荷電流の関係性が分かるようになりました。

 

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図3 出力電圧のリップル成分の拡大図

 

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図4 出力電圧の解析結果

 

 さて、いろいろと長ったらしく乱文駄文を書いてしまいましたが、SW周波数とコンデンサ容量の関係性が少し見えたかなーという感じです。リップル電圧を概算できるというのは、設計する時に役立つかも?しれません。

 

今回はここまで。

 

前回:チャージポンプ回路の動作周波数とコンデンサ容量

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この記事は筆者が別ブログで掲載していたものをこちらに引っ越し、改訂したものです。(元ブログの記事は削除済み)

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