新米技術者の研究メモ

思いついた工学的なお題についてゆるーく考察・解説していくブログ。

汎用部品だけでスイッチングレギュレーターを設計しよう #1

今回から、スイッチングレギュレーターの設計をしていこうと思います。

 

ルールは、汎用部品だけを使ってスイッチングレギュレーターを作ること。

 

普段何気なく使っている電源ICの内部構造をよく理解できると思いますので、新入社員の方にもおすすめです。

 

まぁ思考実験というか、遊びみたいなものです。

 

 

降圧スイッチングレギュレーターの原理

 

さて、何を作るかということなのですが、

 

今回は降圧のスイッチングレギュレーターを作ることにします。

 

例えば、9V(電池)→5V(USB)みたいな簡単な変換基板をイメージしてます。

 

USB扇風機くらい回せたらいいなぁ、みたいな。

 

 

図1

 

それはさておき、降圧スイッチングレギュレーターはざっくりと図1のようなブロック図で書くことができます。

 

出力電圧の情報を基準電圧と比較し、目標電圧より高いか低いかの情報を使って、MOSFETを制御するPWMのDuty比を調節します。

 

このフィードバック回路によって、出力電圧が一定に保たれます。

 

 

PWM発生回路を作るためには?

 

図2

 

ではまず、PWMをどうやって作るのかについて考えましょう。

 

例えば図2のように一定の電圧(比較電圧)と三角波をコンパレーターに入力したとします。

 

三角波が比較電圧を上回った部分だけHighレベルが出力され、その結果PWMになります。

 

またこの比較する電圧を増減(上下)させれば、それに応じてDuty比が変わります。

 

つまり、

  • 目標出力電圧より低いなら、比較電圧を下げてDuty比を大きくする
  • 目標出力電圧より高いなら、比較電圧を上げてDuty比を小さくする

という仕組みがあれば、PWMを制御できます。

 

その上げ下げをするのは、図1における誤差増幅器の役割なので一旦置いておくとして、まずは三角波を発生させる回路を作ります。

 

 

三角波を発生させる回路を作る

 

図3

 

図3のように、三角波発生回路を作りました。図はLTspiceという回路シミュレーターの画面のスクリーンショットです。

 

コンデンサC1端の電圧が、充放電によって三角波になるのでそれを使います。

 

また回路中の各抵抗値とコンデンサ容量で振幅と周期を決定できます。

 

前段の誤差増幅器から渡される比較の電圧値は、+2.5V~Vin/2くらいの予定なので、振幅も同程度となるように抵抗値を設定しました。

 

このICはオープンコレクタ出力で、プルアップ抵抗を付けないと内部トランジスタの端子が浮いてしまうので、忘れずに付けておきます。

 

 

図4

 

図4を見ると、だいたいそれくらいの電圧が出ています。コンデンサの充放電波形なのですが、エッジが立っていて十分そうです。

 

 

PWMを出力する回路を作る

 

図5

 

今回使用しているコンパレーター「NJM2903」は二個入りなので、もう片方を使ってPWM波形を作っていきます。

 

といっても、図5の通りに出力端子(B)をプルアップしておくくらいですね。今は誤差増幅器は作っていないので、代わりとして電源V2を置いてあります。

 

 

 

図6 出力結果(緑:出力B、青:コンデンサ端電圧、赤:電源V2)

 

 

図6はPWMの出力結果(B_OUTPUT端の電圧)です。

 

綺麗になまることなく、PWMが出力されていそうです。これでPWM発生回路は完成です。

 

おわりに

まずはPWM発生回路を作っていきました。

 

次回は、誤差増幅器に使う基準電圧回路を設計します。

 

今回はここまで。

 

ありがとうございました。

 

以上

 

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この記事は別ブログで筆者が掲載していたものをこちらに引っ越し、改訂したものです。(元ブログの記事は削除済み)

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