新米技術者の研究メモ

思いついた工学的なお題についてゆるーく考察・解説していくブログ。

チャージポンプ回路の動作を確認してみる

この記事は筆者が別ブログで掲載していたものをこちらに引っ越し、改訂したものです。(元ブログの記事は削除済み)

- - - - - - - - - -

 
 今回は、チャージポンプ回路の動作をLTspiceで確認してみます。

 

チャージポンプは昇圧回路の一種で、気になっていました。回路構成がとてもシンプルで、インダクタレスのため低ノイズです。特にパワーインダクタなどはサイズが大きいため、この部品を削減できるのは小面積化の面でも有利になりそうです。

 

苦手なところは、一般に大電流を引くことはできない、だったと思います。最近は大電流ICも出ているかもしれませんけれど。そんなチャージポンプ回路の動作を理解したいので、LTspice上で回路を組み、検証してみたいと思います。

  

f:id:synnch:20200725150509p:plain図1 チャージポンプ回路

 

 基本回路通りに、図1の様に組んでみました。コンデンサダイオードだけで回路が完成します。よく分からないので定数は適当(デタラメ)で、PWMは1MHzの50%にしました。大電流が引けないイメージなので、負荷電流は100mに設定。これで約2倍の10Vくらいが出るはずです。

  

f:id:synnch:20200725150651p:plain

 図2 出力電圧の結果

 

結果は図2になりました。約9.3Vくらいになりました。10Vにならなかったのは、ダイオードのVf分だけロスするからなのでしょうか。出力電圧はリップルもあまりなくて静かで、オーバーシュートも特になし。結構、簡単にできました。

 

f:id:synnch:20200725150745p:plain

 図3 チャージポンプのイメージ図

 

色々動作を見た結果、イメージは図3のような感じです。要するにバケツリレーです。

 

①中段のコンデンサは、前段から5V分の電荷をもらいます。

②PWMによって押し上げられて、中段のコンデンサ端子は一時的に10Vになります。

③後段のコンデンサは、中段から10V分の電荷をもらいます。

④出力は約10Vになります。

 

これの繰り返しです。ダイオードが必要なのは、前段←中段、または中段←後段のように逆流して、電荷が逃げない様にでしょう。せっかくのバケツに、穴が開くようなものですね。

 

この回路で入力電圧を2倍にできるということは、何段か接続すれば3倍、4倍にできるということでしょうか?

  

f:id:synnch:20200725150940p:plain

 図4 4倍チャージポンプ回路

 

やってみました。図4の様に4倍になるよう回路を組みました。PWMのONタイミングは、コンデンサ間で互い違いにならないと充電できないので、NOTゲートを入れてあります。

 

 

f:id:synnch:20200725151012p:plain

 図5 出力電圧の結果

 

結果は図5になりました。4倍になると言ったな、あれは嘘です。便宜上、4倍といいました(笑)。ですが狙い通りの出力電圧が出ており、上手く行きました。リップル電圧も少なく、キレイな波形を取り出すことができました。

   

さて、チャージポンプの動作はなんとなく分かりました。ただ、コンバーターとして望みの出力電圧にどのように調整したらいいのでしょうか。PWMを出力に応じて調整するような回路を作れば、コンバーターにできそうな予感がしますが、はて。

 

今回はここまで。

 

次回:チャージポンプ回路の動作周波数とコンデンサ容量

- - - - - - - - - - -

当ブログの内容は、正常な動作を保証するものではありません。あくまで参考情報として、その使用は自己責任でお願いします。また予告なく、内容を変更する場合があります。